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『劇場にも”奇跡の泉”が湧いていた』

1月26日に『BLUE RAIN』を終え、まず僕に課されたのが”検査”だった。

陰性証明を提示して初めて『ルルドの奇跡』の稽古場への参加が認められるとのこと。
皆んなは昨年末から歌稽古をスタートし着々と稽古を重ねていたし、
本来なら直ぐにでも稽古に合流したいところが叶わない・・・なんとも厄介で面倒なご時世。
エンタメ業界、ことに舞台の世界のガイドラインはとっても厳しいのです。

そんな中でもミュージカル座のガイドラインは群を抜いていました。
常時マスク着用は当たり前。
稽古の際はマスクの上にさらにフェイスシールドを着用。
歌うときに近距離での対面を避ける演出。
徹底した飛沫防止策が課されていました。

マスクを着けてるだけでも呼吸が苦しいし表情は見えないし発声にも難がある。
その上にフェイスシールドをすると・・・
その不自由さとコミュニケーションの難解さは想像以上です。

加えて、稽古場にも人数の入場制限があり、大勢での稽古も儘ならない。
故に大勢での場面は実寸が取れる大きな稽古場で集約されて進められる。
ちなみに、劇場での舞台上の人数制限もあり、そこも演出に反映されています。
さらに、稽古場は換気のために音を流すとき以外は常時窓が開いている。
2月大寒の時期にして稽古場はほぼ外気と一緒。
若いときに経験した「クール宅配便」の倉庫仕分けのバイトを思い出す・・・
故に防寒具を着込んで冷蔵庫のような稽古場に臨む日々。

そんな様々な制約があるものの、へこたれちゃいられない。
出来る道を探して、表現に昇華させなきゃならない!

体調管理、相次ぐ検査、限られた稽古時間・・・
色々なことを乗り越えつつ稽古を重ねて行きました。

そんな稽古場での癒しは屋上⬇️

こんな景色を見ると「ガンバロウ」と思える。
そして希望が湧き、何故か拝みたくなる。
”祈り”ってこういうことなのかも知れない、なんてふと思ったり。

『ルルドの奇跡』は、ベルナデットという14歳の少女が、
ルルドにあるマッサビエルの洞窟で”無原罪の御宿り”つまりマリア様に出逢い、
その言葉通りに湧いた泉が不治の病を治したことにまつわる物語。

お伽噺にも思える話ですが、なんと実話。
その後カソリック教会もこの聖母マリアの出現を認め、
病が治ったとされる症例は数千、正式に”奇跡”と認定されたものだけで70ほど。
いまでも泉は湧き続け、ルルドは世界屈指の巡礼の聖地となっています。

僕の役も実在のドズー医師。
実際にベルナデットの診断をした医者です。

彼は科学協会にも籍を置き、科学を信奉してきた人物。
ところが、医学では施しようのない不治の患者が泉で治癒していく”奇跡”を目の当たりにし、
科学と”奇跡”の狭間に立つと言う役どころ。

本当は「ルルドの泉」を体感すべくフランスに行きたいところですが、このご時世もちろん叶わず。
でも、ルルドの洞窟のレプリカは日本にもあるのです。
五島列島が有名ですが、東京にも!

なので稽古のオフに行ってみました⬇️

フランスのルルドと大きさも同じだそうです。

そしてベルナデットの前に現れたと言う「白い服に青い帯、ベールを被りロザリオを持っていた」マリア様⬇️

なんとなく神聖な空気を感じ神妙な心持ちとなります。
そして振り返り見上げるとこんな陽射し⬇️

さっきの屋上の眺めもそうだけど、
陽射しの中、自然の中に僕は特別な崇高な”何か”を感じるようです。

科学は確かに雄弁ですが、
”目に見えない何か”を否定出来るでしょうか?

僕は色々と不思議な”何か”を感じることがあります。

きっとその”何か”に対する畏怖が”祈り”になる。
そんな気もしています。
ドズー医師は正にそんなことを考えさせてくれる役でした。

さて、”目に見えないもの”と言えば、いま正に世の中を混乱させ僕たちを苦しめているコビット君もそう。
でも、こちらにはある程度対抗策も見えてはきてる。
だから油断せずしっかりと⬇️

稽古場だけじゃなく、劇場入りしてからも対策は徹底してました。
舞台から袖に入ると直ぐマスク。
(おかげで皆んなの素顔を見る時間は本当に舞台上のみ・・・)
手指だけじゃなく靴底も除菌。
それもこれも、なんとか舞台を上演し続けたいと言う思いから!

どれだけ対策しても完全なる予防策はありません。
同じ期間にも仲間達から残念な報せが相次ぎました。
僕たちも中止と背中合わせの綱渡りのような日々でした。

4日間と言う短期の公演ではありましたが、
数ヶ月にわたる稽古から考えれば、本当に”奇跡”のような完走でした!!

いや、僕たちが生きてること自体、”奇跡”の連続なのかも知れません。

そして劇場には目には見えなくても心を豊かにし元気を生み出し心を癒す”何か”ある。
そう、そんな”奇跡の泉”が湧いている。
そう思えてなりません。

ドズー医師のソロは”神との対話”でした。
必然的に客席に問いかける形になります。
ここでも客席から届くエネルギーが僕を動かし”何か”が生まれるのを感じました。

やっぱり僕は、そんな劇場が大好きです。
僕にとっての聖なる”窟(いわや)”なんだと改めて。

と言うことで、開演前の空舞台と、そこから見える客席をご紹介して終わりにします

感謝を込めて〜〜〜

おまけは劇場近くにあるご機嫌な公園⬇️

昼夜公演の合間に誰もいない木陰のベンチでコーヒータイムを楽しんでリフレッシュしてました。
春は直ぐそこ🌸

色んな意味で”春”がきて欲しいものです!!!

今拓哉

『”青い雨”は降り続け、僕らは走り抜けた』

『3部作・完結! 第3章、そして〜』

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