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『”青い雨”は降り続け、僕らは走り抜けた』

去年の11月後半からどっぷりと浸かっていた作品『BLUE RAIN』

おかげさまで全日程無事完走で千穐楽を終えられました。
劇場へ足を運んで下さった皆さん、
残念ながら観劇は叶わなかったけれど作品に思いを馳せて下さった皆さん、
本当にありがとうございました。

『BLUE RAIN』は原作がロシアの文豪ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」、
作品の舞台はアメリカのユタ州スプリングデール、
作品を生み出したのは韓国クリエイターのジョンファ&テヒュンご夫妻、
そして今回の上演は日本スタッフ&キャスト陣という4カ国ハイブリット作品です。

でも作品に溢れているパッションは韓国作家ならでは!
韓国発の小劇場向けミュージカルはテーマの重たいものが多いのですが、
その重さをエンターテイメントに創りあげるレベルの高さを感じていました。
『SMOKE』や『HOPE』といった作品を観ていて本当に面白いしやりたいなぁ〜と思っていましたし!

なので今回の『BLUE RAIN』にかける思いは一入(ひとしお)でした。
観ていても感じていたことですが、やってみて感じたのは、
それぞれのキャラクターの色は強く、役者には大きな負荷がかかり強いエネルギーを要求されるということです。
特に「ジョン・ルキペール」という人間は”悪魔・悪党・怪物”と言われる男。
関わる5人に圧倒的な圧力をかけないと作品が成立しない。
なので稽古からフルスロットルで臨んでました。

ただこのご時世。
演劇界のガイドラインは非常に厳しく、稽古場ではもちろん常時マスク着用。
ハードなナンバーをマスク着用で歌うのは本当に苦しい。
名付けて「演劇的高地トレーニング」!
本当に酸欠になるんですよ、ハイ!!
そしてマスクの負荷は酸欠だけじゃありません。
相手の表情が読み取れない、という厳しいものです。
見えるのは目だけ。
「目は口ほどに物を言う」とは言うけれど、芝居をするには酷な状況です。
しかも舞台空間の芝居ですから、映像みたいに目の奥の表情の変化を見せられる訳じゃない!
演出の荻田さんからも「マスクの下でもの凄い芝居をしてくれてるかもしれないけど・・・」なんてノートが度々。
コロナは本当に厄介で面倒な状況を生み出しているのです。
(これでもかと実施される検査はいわずもがな!ボディブローみたいに精神的に効いてきます)

そんなこんなを乗り越えて、本番直前のゲネプロ(本番通りに行われる劇場での通し稽古)で、
初めてマスクを外した時の開放感ったら!
そして相手の顔がを見ながら芝居出来る喜び!!
(こんなお顔でこんな表情をされるのか!って感覚もね)

6人で紡ぐ「凄まじき一家の物語」
ジェットコースターのような勢いで鳴門の渦潮に飲み込まれるみたいに時空を超えて進む展開。
開演したら幕切れまで一気に突き進む感覚の1時間50分でした。

舞台は”生物”ですから、日々違うしアクシデントも色々と。
でもゴールに向かってみんなで物語を紡ぎ進める。
そこを支えているのは稽古で培った信頼関係。
本当に頼もしく心強い仲間でした!

2年前の初演時に感染対策で急遽生み出されたビニールシート張りの装置は今回も。
ただ、非接触を貫いた初演から、今回は演出もかなりチェンジ。
普通に行われる芝居があると、ビニールシート越しの芝居が更に想像力を掻き立ててくれます。
人と人の間にある心の壁、言葉が届かないもどかしさ、触れられない関係・・・
やればやるほど、この装置が作品に流れる関係性を隠喩として現してると感じてました。

荻田さんはビジョンはハッキリ示してくれて表現には自由を与えてくれる。
演出としては初めてのご一緒の作品創りでしたが、刺激をいっぱいくれて導いてくれました。
知識の豊富さ、表現の豊かさ、いつもユーモアを携える懐の広さ。
とても嬉しい出逢いでした!

そして歌唱指導の福井小百合さんにも大感謝。
かなり前から面識はあったのですが作品創りでご一緒するのは初めて。
その音楽性の豊かさ確かさには脱帽。
そして切れ味鋭いジャッジとノート。
最初の歌稽古で全幅の信頼。
的確に音や表現のズレを示して修正してくれる。
本当に心強く有難きお方なのでした!

いま楽を終えて思うのは、やっぱり韓国発の小劇場ミュージカルが益々大好きになったってこと。
こらからも違う作品にトライしたいなぁと虎視眈々!な感じです!!

さて、ではここからは写真を交えて!

まずは舞台上から見る博品館劇場⬇️

感染対策で前2列の席は使いませんでした。

さっきも書いたビニールシート越しに見る客席⬇️

お次は幕開きの僕⬇️

ストーリーテラー宜しく開幕を任されました。
客席とコンタクト出来る機会は貴重で楽しみでした。

もう一枚、ジョン・ルキペールの僕⬇️

「悪魔・悪党・怪物」と評される人物。
不思議とこの男の言動が愉快になってくるってことは、僕の中にも同じようなダークサイドが潜んでるってことかも!
そして生命力に溢れるジョンからパッションを貰ってた気もします。

さてさて、ここからは共演者のご紹介おば!

先ずはテオ役の大沢健さん⬇️

色んな作品で拝見していましたが、芝居の安定感と表現の豊かさは流石!
日本舞踊の名手でもあり、お祖母様は民謡を歌われるとか。
ミュージカル2作目とは思えない素敵な歌。
歌に説得力がある正に”役者歌”。
息子役なのですが5歳差。
そりゃ僕は髪を白くしたくなります!

そしてダブルキャスト、もう一人のテオ役の石井雅登さん⬇️

マサトゥとは『怪人と探偵』でもご一緒でした。
本当は『チェーザレ』も一緒のはずだったんだけど・・・
これぞダブルキャストの醍醐味ってくらい大沢さんとは全くタッチの違うテオ!
もともと歌唱力には太鼓判。
さりながら、今回は敢えて歌い上げない芝居歌に取り組んでました。
芝居の表現って本当に自由で無限なんだと感じます。

お次はこの人、ルーク役の東山光明さん⬇️

初演からの続投組。
お兄ちゃんの義久君とは何度も共演があるけど、みっちゃんとは初めての共演でした。
実は稽古が始まって暫くは二人が兄弟だって知りませんでした。
めちゃくちゃナイスガイです。
楽屋でも色んな話をさせて貰いました。
見事な作品の柱でした!

お次はサイラス役の染谷洸太くん⬇️

洸太くんとはとあるイベントで共演があります。
そして『チェーザレ』もご一緒のはずでしたが・・・
今回はガッツリ!
怪しげな執事を飄々と。
後半に繰り出される3つのナンバーを綺麗に歌い上げてました。
毎日が初日みたい!とダブルキャスト故の緊張感を楽屋に伝えに来る可愛い一面も!
そして、とっても素敵な写真を撮るカメラマンでもあります。
みんなの素敵なオフショットを残してくれました。
自然な表情を引き出すのは洸太くんの人柄故です!!

そしてもう一人のサイラス役は伊藤宏祥さん⬇️

伊藤さんとご一緒するのは今回が初めて!
ですがご縁のある劇団「らふ」のメンバーと一緒に大学時代に作品創りをしていたと言うご縁はありました。
鍛えられた肉体を持ち豊かな大胸筋が衣裳を着ていてもクッキリ!
そして西城秀樹さん張りのパワフルな歌声。
これまた洸太くんとは全く違ったキャラクター。
本当にダブルキャストがこんなに違うアプローチをしてくれると、
「一役で二度美味しい!」みたいに感じます!
風貌と声に似合わず意外に緊張屋さんで可愛い一面も!!

お次はこのお方、エマ役の池田有希子さん⬇️

韓国小劇場向け作品にこの人あり!と言うくらい韓国作品のテイストをお持ちのお姐サマ。
ゆっこさんとは『tweleve』以来久しぶりの共演。
とにかく自由でパワフル。
こんなのが出てきちゃった!と自分でもビックリしてるように見えるくらい抑えられないものが溢れてる。
『BLUE RAIN』と『SMOKE』の作者でもあるジョンファさんが自分にそっくりと言うくらい熱い情熱を蓄えてます。
若き頃のジューリーにも似てる美貌もね!

最後はヘイドン役の彩乃かなみさん⬇️

彩乃さんも色んな作品を拝見してるもののご一緒するのは初めて。
稽古場でも楽屋でも笑顔で可愛いのですが、今回のヘイドンは舞台上で笑わない。
この笑顔を見ると共演者の特権を感じました!(たとえマスクをしててもね!)
もともと歌の上手な方ですが、今回の役では更なる負荷をかけた歌い方にトライしていました。
僕はジョンの他に刑事(死んだジョンが変化した)もやっていたのですが、
彩乃さんとは刑事としての絡みの方が多かった。
もちろんジョンにも刑事にも笑ってはくれませんけどね!

とまぁ、もっともっと書きたいところですが、この辺で!

最後に大沢さんと洸太君の楽日の終演後と千穐楽終演後の写真を!!

本当に素敵な仲間に感謝を込めて〜

25日ソワレを無事終えて⬇️

26日に無事千穐楽を終えて⬇️

『第2章、完走!〜また劇場に”魔法”がかかった〜』

『劇場にも”奇跡の泉”が湧いていた』

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